Dr.コバヤシの 歯ごたえのある話[4]

歯周病菌は女性ホルモンがお好き

妊娠すると、歯ぐきから血が出やすくなったと感じたことはありませんか? 実は、これには理由があるのです。  

歯周病菌の仲間には女性ホルモンが大好きで、エサにしている細菌がいます。これが女性ホルモンの分泌量が増える妊娠中や思春期に、俄然元気になって増殖し、悪さをするのです。  妊娠中はエストロゲンという女性ホルモンが盛んに分泌されます。歯ぐきからは女性ホルモンを含む浸出液が出て、歯周ポケットの中に女性ホルモンが増えてきます。すると、これをエサにするプレボテラ・インターメディアという歯周病菌が増殖します。そして歯周病菌の出す毒素(エンドトキシン)や炎症物質(サイトカイン)の血中濃度が上昇。子宮筋膜を収縮させるスイッチが入り、早産や低体重児出産のリスクが高くなると考えられているのです。歯周病菌の出す毒素はお母さんだけでなく、胎内の赤ちゃんもいじめてしまうのです。  

歯周病は放っておくと歯がグラグラになり、ついには失われてしまう怖い病気ですが、実はそれだけでは済みません。糖尿病が悪化したり、老人性肺炎(65歳以上の死亡原因の第一位)になったり、脳や心臓の血管を詰まりやすくし、脳梗塞や心筋梗塞など全身の病気を進行させてしまう、重大なリスク因子でもあるのです。つまり、歯周病は命を縮めてしまう怖い病気といえるでしょう。  どうか自分自身の健康のため、そして何より大切な赤ちゃんのためにも、普段から定期的に歯周病のチェックを受け、歯周病予防に努めていきましょう。

Dr.コバヤシ(小林歯科医院 小林孝次) 高森町下市田2940 ☎0265-35-2316

妊娠中は歯周病菌の活動が活発に。定期的に歯周病の検査を受けましょう