高森寺院めぐり[3] 瑠璃寺の紅白百日紅(サルスベリ)

瑠璃寺山門
瑠璃寺の紅白百日紅
薬師猫神様

大嶋山瑠璃寺 高森町大島山

サルスベリは「百日紅」と漢字で表記され、「ひゃくじつこう」とも読まれます。紅の花が長期間咲くことからこの字が充てられていますが、中国には恋人と百日後に逢う約束をした乙女が、百日目の直前に亡くなり、その後にこの花が咲いたという伝説があるそうです。乙女の深い悲しみ、情念が宿ったように、紅の花は百日間も咲き続けたのです。 

百日紅は夏を代表する花の一つ。名前のとおりお盆過ぎまで、花期はロングラン。花の色は紅のほか、ピンク、白、紫などがあり、樹形も美しいことから寺院などでよく目にします。(※) 

高森町大島山の瑠璃寺では、山門を入った客殿前庭に紅白の百日紅の大木があります。参道脇の枝垂れ桜ほど知られてはいませんが、紅白一対で花を結んだ様は清楚な美しさがあり、清浄な気持ちにさせてくれます。 

同寺は国重文の薬師三尊像、県宝の聖観世音菩薩像、県無形民俗文化財の獅子舞など、名刹に相応しい見どころにあふれています。また新名所として人気なのが、山門手前の「瑠璃の里会館」。ここに安置されている薬師猫神様は、平成19年に養蚕の守り神を起源として、薬師如来の化身としてお迎えした神様です。訪れた際はぜひお詣りください。 

※きれいなサルスベリですが、私は好きではありません。この花を見ると、一年も半分以上が終わったことを知り、焦りがつのり暗い気分になるからです。日が短くなるにつれて色を染めていくサルスベリは、心の焦りの色もどんどん濃く染めていくのです。